2008年10月12日

アナザー・カントリー

昨日の記事へのコメントありがとうございます…!
長々しい文章、読んでくださったことに感激です(´∀`*)
なるべくすぐにお返事いたしますので今しばしお待ち下さいませ…

で、その前に、さっき勢いで描いてしまった記事を一つうp…




先程、家族に「あんたこれ好きそう」と薦められて借りたままになってたDVDを観ました。



いや…すっごい…よかった…!!

物語は実在したケンブリッジ出身の英国人スパイの人生をモデルに作られています。彼はソ連のスパイとして人生を送るのですが、その原点に、パブリックスクール(英国での全寮制エリート男子校)のとても抑圧的な教育と、そこで育んだ友情、そして性愛の体験があったという形で物語が進みます。

恐らくは「英国のパブリックスクール」「同性愛」のキーワードで私に薦めてくれたのだと思いますが(笑)、流石名作だけに、それだけに留まらなかった。それも、同性愛を「おまけの要素」にせず、人間の性愛への抑圧が他の社会、政治的な差別の問題とつながっていること、決して「特殊な問題」ではないことを壮大な規模で描いてくれる作品でした。
なお、今、「壮大な規模」といいましたが、逆説的にも、映画は殆ど1930年代英国のパブリックスクールという閉塞感漂う小宇宙ばかりを描いています。男子学生達の生活から、スポーツ、軍事教練、夜中のデートなどなど。なのに、その日常の断片から、外側に広がる社会の問題、構造が浮かび上がってくるのです。
特に、同性愛と並んで重要な要素として描かれるのが当時盛り上がりを見せていた共産主義思想です。主人公には筋金入りの共産主義者である親友がいて、その影響を受けつつ、当時の英国社会の権力構造、抑圧の仕組みと、特権階級である自分も含め、そこに寄生している人々の偽善を皮肉な眼差しで描写していきます。(この辺の台詞回しがまた心憎いんですよ。)
以下、ネタバレにつながる要素へのコメントがあるでちょっと隠します。





主役を演じた俳優、ルパート・エヴェレットは94年に同性愛者であるとカミングアウトしているんですが、この映画に出演した1984年当時は全くそのことは公になっていませんでした。

作中、共産主義者である親友がうっかりと同性愛差別的な感情をちらりと見せるシーンがあるんですが、その時のやりとりが凄く良かった。

「君は社会の不公正には怒るくせに、恋愛のこととなると人を差別するんだ。その点ではブルジョワどもと同じさ」
「ホモ、オカマ、変態と呼ばれているものが何かよく見ればいい、そして一生かかって考えろ!」
この後、親友は何かが分かったような顔をします。
英国とはいえ、84年という時代を考えると、台詞回しの適切さに驚かされました。
なお、主人公はかなり放埒な性格で、実は寮中の人々と性的な関係を持って楽しんでいるのですが、この親友とだけは作中決して寝ることがありません。

(ちなみに、学校内では、生徒間の同性愛的な性的関係は公然の秘密になっています。「一過性のちょっとした悪徳」位の位置づけで、しかし見付かったら鞭打ちの刑などの処罰や放校が待っている。また、肉体関係と「恋愛」は厳密に区別されていて、前者はちょっとした遊びだけど後者は「深刻な逸脱」とみなされるようです。)


物語の終わりでは、共産主義へと傾倒していくのだろうということが暗示されます。
そしてご存じの通り、共産主義の夢は決してバラ色のものとはなりませんでした。
その意味で、主人公たちを待ち受けているのは皮肉な運命です。しかも映画を観る我々は、主人公を鞭打ったパブリックスクールの人々がのうのうと生き延びて政治家や銀行家になっているという後日談も知ることになります。
映画は、モスクワで半身不自由になって恋人(男性)と老後を送る主人公が新聞記者の前で過去を回想するという形で終わります。

何ともビターな後味を残すシナリオではあるのですが、激動の時代を生きた人々の人生の断片(の再構成)がそこにあり、理想と夢、同性愛、不平等、階級、様々な問題が本当に自然な一体感を持って提示されていることに圧倒されました。
見て良かった。

あ、この映画は84年にカンヌ国際映画祭で芸術貢献賞を取りました。
だから私がわざわざここで騒ぐでもないんですけどね…
posted by サキオ at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・アニメ・映画批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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