2011年06月20日

少年愛モノの原点『寄宿舎〜悲しみの天使』レビュー

こんにちは。
終日はなかなか慌ただしくて、あっという間に週末、いや、もう日曜日の夜ですハヒー
そういうわけで今日と昨日は頑張って原稿しました。

しかしその合間にも、実は、金曜日、一仕事終わって脱力した夜に映画を見てしまいました。
それもなんと、1950年代の問題作『寄宿舎〜悲しみの天使』。
見てのとおり超オールドムービーなのですが、これはなんと、萩尾望都大先生が『トーマの心臓』を構想する切っ掛けの一つになったとの伝説がある映画なのです…。今は絶版で超高い値がついてますが、とある経緯で入手できました。
寄宿舎 〜悲しみの天使〜 [DVD] / フランシス・ラコンブラード, ディディエ・オードパン...

以下、ネタバレも含む感想です。
舞台は恐らく20世紀初頭くらいの南仏。厳格なカトリック系の修道院が経営する寄宿舎学校で、14歳の少年ジョルジュが12歳の少年、アレクサンドルに出会ってこっそりとプラトニックラブを育むのですが、教師でもある修道士達によって無理矢理別れさせられることになります。
そして絶望したアレクサンドル(12歳なんですけどね)は列車から飛び降り自殺をするという悲劇の最後が待っています。

こう書いてしまうと目が丸くなるぶっとび展開だと思うんですが、映画で見るとこのストーリーがちゃんと説得力あります。
何故説得力があるかというと、それは、この映画で出てくる世界が、私たちの知っている世界と明らかに違う決まり事で動いている小世界だからです。

たとえばこういう感じです。

(1)厳格な寄宿舎ではすべてがキリスト教の決まりに従って営まれる。だがその影で少年同士の秘密の関係が横行しており、「品行の良い」少年と「品行のよくない」少年という区別で彼等は互いを呼んでいる。

(2)少年達の「関係」は、作中では「同性愛」とは呼ばれず、「特殊な友情」と呼ばれる。しかもプラトニックな側面がとても強い。そしてそれを知ってる修道士達は「特殊な友情に夢中になって周りが見えなくなってはいけない」というお説教を礼拝で行っていたりもする。

(3)少年達がは愛を伝えるため、ガチで、相手の美しさ、すばらしさを称えるポエムを送りあう。それも、見つかると罰を受けたり追放される恐れがあるから、すれ違い様にささっと紙切れを相手の懐に忍ばせるなど涙ぐましい努力をする。

(4)愛が高まってくると彼等は「血の契り」を交わす。互いに、ナイフで自分の腕をちょっと傷つけて、相手にその血をなめてもらうのである。そうすればいつも側にいることになるのだという。

(5)主人公二人組のデートは誰もいない壊れた温室で、それも、ただ嬉しそうに側に寄り添って語り合っている。とりあえず作中でエッチなことは何も起きない。ただ、12歳の方が「ねえジョルジュ、君は『知ってはいけないこと』に興味があったりするの?」とおそるおそる訊く、というきわどいシーンはある。ジョルジュは優等生なので、一瞬固まったあと、「いや、ないよ、全然ない」と答える。

(6)すごく厳格なカトリックの世界なので、登場人物は定期的に「懺悔」の時間がある。修道士に罪や悩みなどを話さねばならない。もちろん二人は「友情」のことについては嘘をつくんだけど、これが結構大変。たとえば、定期的に強制的カウンセリングを受けさせられるような生活を想像してみて欲しい。

(7)別れさせ方もえげつなくて、修道士達は年上のジョルジュに「君がもらったラブレターを全部あの子に突っ返しなさい。それこそが真の友情だ。それが正しい道にあの子を戻すために必要なのだ」と迫る。それも、代わりに突っ返してやるからラブレターを全部預けなさいとか、そうしないと12歳の方を強制退学させるなどと脅す。

とまあ、全体的にすごいです。
はっきりいって、『トーマの心臓』よりもハイパーにポエムで、しかしより残酷で、異文化な世界が広がっています。
それも、今日では絶対に描けない世界、かもしれません。というのも、この映画は性表現こそないものの、今日では明らかにタブーになっている「子どもの魅力」をかなりあけすけに描いているのです。
14歳のジョルジュも少年なんですが、結構大人びてるので、ジョルジュが12歳アレクサンドルの愛らしさに惹かれるシーンは今見ると、ほんとうに落ち着かない気分になります。


なお、映画の原作者はガチの「少年愛者」でした。「同性愛者」というよりも、クリアーに十代の少年が好きな人だったのです。
そして実生活でも、この映画が作られたあたりで12歳の少年に恋に落ち、後に養子にしました。そのあと恋人だった少年は結婚するんですが、全く問題なく、パトロンのような形でずっと友好関係を保ち続けたそうです。


というわけで、長い感想になりましたが、とにかくすごかったです。
posted by サキオ at 00:38| Comment(7) | TrackBack(0) | 漫画・アニメ・映画批評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。はじめまして。

この作品、現行発売されているソフトは本国フランス版DVDだけですね。
日本では特に人気が高い作品なのに、なぜ日本版が再発されないのか理解に苦しみます。
原作も読んでみたいものですが(英訳版は持っていますが、難解な英語で私の手には負えません)、邦訳が出る兆しはまったく無し……。
製作年代は1960年代ですね。既にカラーが主流の時代ですが、モノクロ映画も作られていましたので、この作品がモノクロなのは演出上の意図的なものなのか予算の都合なのか謎です。

↓私が以前書いた2ちゃんねるの書き込みのキャッシュがありますので、御面倒でなければチェックしてみてください。
ttp://2chnull.info/r/wmotenai/1300004467/887-889

↓上のスレッドからも誘導している別スレ。英訳本について書いていますが、読み返すと微妙におかしなことも書いてます。
ttp://toki.2ch.net/test/read.cgi/kinema/1137259477/579-581
Posted by esme at 2011年06月20日 12:02
こんばんは、レスが遅れ失礼しておりますm(_)m
そして突発ネタへのコメントありがとうございます!
リンク拝見しました。
貴重な、何と貴重な画像の数々…!!!何よりJUNEの記事が読めて感激です。すごく読み応えがありました。
そして「ブルボン宮で政治家達が…」のくだりで、ある歴史の本を思い出しました。
星乃治彦『男たちの帝国 ヴィルヘルム2世からナチスへ』
http://www.amazon.co.jp/dp/4000223887/
今の「同性愛」と少し趣は違うのですが、ドイツの閉じた男同士の社交の中で「公然の秘密」として行われていた同性愛的な絆(それこそ性的なものも含む)が、実際の政治的な駆け引きや人間関係にどう影響を与えていたかについて、ドイツの19−20世紀を丹念に追った歴史の本、だったと思います。

JUNE記事の内容といい、映画といい、この時代に起きていたリアルな出来事(しかし我々は多くを忘れてしまった)の数々が、かなり本当に、801の底流を成しているのかも…という気までしてきました。


それにしても、もっと日本語版などでて知られるべき作品ですよねほんとに…。
Posted by サキオ at 2011年06月27日 00:12
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